
ルドルフ・シュタイナー (Rudolf Steiner 1861-1925)
オーストリアやドイツで活動。ゲーテ研究家、哲学者、 教育者である。
この地上で生きる力を育むために、教師は毎日下校の前に子どもたちと『夕べの鐘の祈り』を唱えます。
森羅万象の営みに感動出来るのは、そしてそれを「美しい」と言えるのは、『私』がそれを確かに見たから、聴いたから。それに『私の心』が触れて動き出したから。
考える事は揺るぎない宇宙の「真理」に出会う事。過去から続く叡智を学ぶ『私』は、未来のあらゆるところに姿を変えて潜む真実をさぐりあてる。
「美」と「真」を携えた『私』は、勇気という翼に乗って『私を本当に求めるところ』へ赴くのです。
人智学に基づく教育
シュタイナー教育とは、ルドルフ・シュタイナーの確立した人智学(アントロポゾフィー)という人間観、世界観に基づく教育です。
最初の学校(自由ヴァルドルフ学校)は、第1次世界大戦の最中、未来の社会をより良いものに変えていくためには、自由な人間精神の育成が必要というシュタイナーの考えのもと、1919年、それに共鳴したヴァルドルフ・アストリアたばこ工場主の尽力によって南ドイツのシュトゥットガルトに創設されました。それ以来、学校は世界各地(60数か国)に増え続け、1100校(2018年現在)を超えています。
シュタイナーは、一人一人の子どもは人生で果たすべき何かの課題や使命をもって生まれてくると考え、その使命を果たすためには、バランスの取れた「精神」「こころ」「からだ」を持つことが必要だとしました
真の自由への道
シュタイナー教育の過程は、「自由への道」と呼ばれます。
学びを通して子ども自身が徐々に内側に眠っている使命や才能を見つけ育み、成人したときに、周りの人の権威や評価、自分の利害によらず、自分で実行しようと決めたことに対して、自分で考え、これが正しいと自分が判断したことを自分の責任で行おうとする「真に自由な人間」を育てることを目指しています。
子どもは、身近な人々や自然など素晴らしいものとつながり通じ合い、心に熱いものが流れたときに、世界と一体になったと感じ、目に見えない大いなる力を感じます。シュタイナーはそういったときに感じる達成感・充実感を「自由」と表現しました。
人はそのような体験をすると、自分が何のために生きるのかという人生の目的を見出すことが出来るのです。そして、真の自由を獲得した人は相手の自由も尊重するのです。
シュタイナー教育は人の一生全体を視野に入れ、子どもの発達段階に応じて、その時期にふさわしい能力を伸ばしていこうとするものです。
シュタイナー教育の特徴

体験を通しての学び

全学年を通じて、自らの手を使って他の人のために役に立つものを作ること、昔から現在まで人々が行ってきた仕事の体験を多く行います。
そのことにより手先の器用さを養い、物がどのように作り上げられているかを知ることで昔から人々がどのように働いてきたかを理解し、人々への尊敬の念が湧き、手足・胸・頭の働きのバランスが取れた真の人間性を養います。
エポック(周期集中)授業

一つのテーマ(国語、算数、生活、地理、歴史、物理、天文、生物など)を毎日二時間、それを三、四週間集中してじっくり学びます。この方法は、子どもに興味をもたせ集中力を養います。この細切れでない授業は、子どものもっと学びたいという感情の高鳴りを満たします。
一つのエポックが終わった後は、別のテーマのエポックを行います。学んだことを一度忘れ、再び授業において思い出すことによって魂を成長させていきます。
エポックノート

子どもたちは、エポックの時間に教師の話をたっぷりと聞き、その生き生きとしたイメージを自分のノートにまとめていきます。
黒板に描かれた美しい絵や文章をその時に感じた内面の感情とともにノートに書く作業は、自ら考え学ぶ人間を育んでいく力となります。
専科の授業

身体の育成と魂の発達のためのオイリュトミー、1年生から始まる外国語、そのほか水彩画、手仕事、演劇、フォルメンなど、エポック授業のテーマに関連した数多くの体験をします。
芸術を通しての学び

芸術には生命があり、リズムがあります。
シュタイナー教育の授業には、教師の話を聞いて吸収すること、学んだことを言葉や絵で表現することの両方をバランスよく行うリズムがあります。
子どもたちはそういった授業に生き生きと喜びをもって取り組みます。
校外学習

子どもの経験を深めるために、カリキュラムの中に自然体験や地域の人々との交流が多く盛り込まれています。
● 季節の遠足(全学年)
● 夏のキャンプ(4年生から)
● 園芸・郷土学、地理、歴史などでのフィールドワーク
● 工場見学・修学旅行・農業実習(9年生)
成長を見守る担任
原則として、一人の担任が9年間を通して子どもの成長を見守り、一人ひとりの子どもたちを大切に、その個性をしっかり把握しながら、授業を行います。7歳から14歳までのこの時期の子どもたちは、「私もこんな人になりたい」と心から思う体験が必要です。教師はそのような存在として、成長する子どもたちとともに必要としているものを準備し、自分の授業も変化発展させていきます。愛をもって子どもの前に立ち、子どもたちとの深いつながりを保っていきます。
※諸事情により、担任の交代や、複式クラス編成の変更をさせて頂く場合がございます。
学習の記録
点数による評価はありません。1年間の終わりに、教師が子ども一人ひとりの学びや課題、成長の様子について、文章で綴った記録を保護者にお渡しします。