私たち福岡シュタイナー学園では、夏の訪れを祝う季節の祝祭としてヨハネ祭を行っています。
太陽が一年のうちに一番高く昇り、夜よりも昼の時間が一番長くなる夏至の日に、このヨハネ祭は祝われます。今年度は夏至が6月21日ですので、その日に一番近い土曜日である22日に行います。
ヨハネの頃、自然の中の生き生きとした力が外へと出てきます。いたるところで、植物は青々とし、花が咲くのが見られます。様々な場所、石の上にも塀の切れ目にも雑草が生え、小さな草花が咲きます。ヨハネ祭に咲く赤いバラは、1年の行事の中でちょうど12月24日の対になる祭りのシンボルです。
洗礼者ヨハネは、イエス・キリストより半年早く生まれたと言い伝えられているキリストの預言者です。夏至が過ぎると、彼はこう言いました。「彼は、伸びる。私は小さくならねば。」と。
これは、1年の流れの意味深い関係において言われたそうです。民衆の間では今日でも「ヨハネ祭には、葉っぱがひるがえる」と言います。ヨハネ祭のころに、鳥たちのさえずりは、週を追うごとに朝夕それぞれ短くなり、夏の終わりにはほとんどやんでしまいます。
ヨハネ祭前後は、日が最も長く、夜が最も短いので、人々は自由時間を外で過ごそうと欲し、太陽の暖かさと光を味わおうとします。そして、長い明るい夜を過ごします。子どもたちにとって、通常の時間に眠ることは難しくなってくるかもしれません。でも、そのような時だからこそ蛍が暗闇からどのように光を発しながら現れるかを体験できたら、子どもたちはきっとこの時期だけの特別な体験ができることでしょう。校舎の横を流れる小川でも蛍を見ることができます。
そして、ヨハネ祭では「ヨハネの火」が焚かれます。ヨーロッパでは、ヨハネの火がいろいろなものを焼き払う、と考えられていました。それに、民間信仰が結合し、”うまく煙を出したら、悪霊を追い払い浄化できる”と人々は信じていました。不幸や病気にならないように、ヨハネの火を燃やした後、人々はその火の上を飛び越えたそうです。日本でも、夏至に近い日に夏越大祓(なごしのおおはらえ)や茅の輪くぐりを行い、半年間に溜まった病と穢れを落とし、残りの半年を無事に過ごすことを願う儀式があります。毎年行うヨハネ祭では、大きい学年の子たちから、「ヨハネの火」を飛び越す焚き火越えを行います。火を飛び越し、みんなで無病息災を願います。
ヨハネ祭当日は、大人の方々もどうぞこのヨハネの火を飛び越えてください。ともに健康を祈りましょう。
そしてもう一つ。太陽の大きな力が働いている夏至の時期に、火を焚く夏の祝祭を学校みんなで行うことは、とても大きな意味があると感じています。火は熱く、火傷をしてしまうような猛威の存在で、私たちにとってはなんだか怖いもの、という感覚がありますが、アダムとエヴァとその子どもたちが火を見つけた時から、火の恩恵を私たちは受けています。そして、その火は太陽の子どものようなものです。
子どもたちにとって、それを肌で感じることができるのが、このヨハネ祭ではないでしょうか。太陽の恵みを私たちは大いに受けながらこの地球上に生きている。そのようなことに思いを馳せながら、太陽の恵みを受けて育った穀物や野菜、果物などの食べ物をみんなで感謝を込めていただきたいと思います。
ヨハネ祭で食べられる田舎パン レシピ
今日は、最後にヨハネ祭の時期に作ると楽しい「田舎パン」のレシピをお伝えします。こねなくて良いレシピです。(普通のパンのドウをお日さまの形にしてやく「お日さまパン」も楽しいでしょうね!)
よければご家庭で子ども達と一緒に作ってみてくださいね。そして夏の訪れをご家庭でも様々な形で楽しんでくださ
い。
<材料>
・パン用小麦粉(強力粉) 3カップ
・パン用ドライイースト 5g
・良いお塩 小さじ1.5(お好みで増やして)
・水 1.5カップ
・油(菜種油・米油などお好みの油)少々
- 小麦粉とイースト、塩を深めのボールに入れて手や泡立て器でよく混ぜる
- 水を注ぎ、スプーンで粉っぽさがなくなるまで混ぜる(こねなくてOK)
- ラップをして常温の室内にそのまま置いておく(2時間ほど)
- オーブン(260度)でホーローなどのココット鍋を十分に予熱する
- クッキングシートに生地をひっくり返して落とす
- オーブンから鍋を取り出し、クッキングシートの四隅をつまんで中に入れ、ぴっちり蓋をし てオーブンへ。
- 30分焼いたら、蓋を外してさらに10分弱焼いて完成
ヨハネ祭担当 大友綾