皆で乗り越えたミカエル祭

1学期、夏休みに入る前の1週間のエポックで、9月のミカエル祭で取り組むことになるお話を子どもたちに語りました。創世記のエポックで天地創造のお話をずっと聞いていた子どもたちは、大天使ミカエルと悪の象徴である竜との闘いを思い出すように、興奮気味に聞いていました。

今回、3年生クラスの子どもたちのために選んだお話は、「りゅうとかじやの息子」という物語でした。元気いっぱいだけど、人前に出るのはとても恥ずかしがりの子どもたちに、学んでほしいことが大きく二つありました。一つは、自分の中の自信の無さからくる弱さや恐れと闘ってほしいということ。もう一つは、自分の中の悪を打ち負かすだけではなく、優しい気持ちを持ち、力を出し合ってほしいということでした。長い夏休みの間、子どもたちの中にお話は静かにどこかで繋がっていたことと思います。

二学期になり、気合いを入れて始めよう!と思っていた矢先に、クラスの一人が夏休みの終わりから体調がすぐれず、登校できない状態が何と2週間以上も続いてしまいました。残った3人で少しずつ劇のようなものを始めていましたが、配役もしっかり決められないまま、誰でもどの役でもできるように、励ましながらの日々が続きました。そして、3週間目にやっと全員で揃うかもしれない、と思った矢先、次は他の子が体調不良の発熱となり、1週間のお休みとなってしまいました。3週目は、3年生はたった2人のまま、他のクラスとの合同リハーサルを行ったこともありました。このまま、本当にミカエル祭をできるのだろうか、とさすがに不安がよぎりました。けれども、これはミカエル祭なのだから、この大変さも含めてプロセス全てが子どもたちの力になるはずだ、ミカエルがきっと見守ってくれているに違いない!と決意を固め、とにかく子どもたちの力を信じることに集中しました。

ミカエル祭まで残り4日間になり、初めてクラスの全員が揃いました。急いで役を決め、とにかく皆で動いてみました。しかし、そうは簡単にいきませんでした。直前になって、子どもたちは口々に、「恥ずかしいから、その日は学校休みたい。」「きっと熱がでて休むと思うけどいい?」「覚えられないから、あー、やりたくないよ。」
いよいよ近づいてきたことで、子どもたちの不安はいっぱいでした。私は「そうだよね、ドキドキするし、大変なことだよね。でも、みんなが闘っている悪い竜は、自分の中にあるその怖い気持ちや恥ずかしいからやめたいなと思う気持ちだよ。ミカエルが守ってくれているから、あとは自分の力でその気持ちと闘うんだよ。」ともう一度、伝えました。すると一人の子が「よく分かったよ。」と言い、他の子どもたちも何かを感じた様子でした。

そして、他のクラスとのリハーサルに取りかかると、日に日に3年生は成長していきました。他のクラスのみんなが自分たちのために力を注いでくれているのだ、という喜びが大きくありました。音楽や効果音を担ってくれた高学年の子どもたちからは、「先生、このシーンではもっと大変な感じで闘うほうがいいと思います。」とか、「この音では少しイメージが違いますよね?」など、嬉しいことに意見を色々と伝えてくれました。高学年の子どもたちは、3年生の時に自分たちも取り組んだミカエル祭をそれぞれに思い出しながら、とても温かく優しく今の3年生を応援してくれていて、感動しました。

ミカエル祭当日に登校した子どもたちは、無事に全員元気に揃って、気合十分。本番では、きっと何も心配しなくてもしっかりと出来る!と信じて見守りました。そして、たくさんの保護者の方に温かく見守っていただく中で、子どもたちは、恥ずかしいながらも堂々と、一生懸命に劇をやり遂げました。その姿から、子どもたちの底力、大きな光を感じ、胸が熱くなりました。

終わった後の子どもたちの誇らしげな顔は、私の大切な宝ものとなりました。

たくさんの力に支えられて、これからも子どもたちは逞しく成長することでしょう。いつも支えてくださる皆さま、そして全てのクラスの子どもたちに心から感謝しています。

最後に、劇の最後に3年生の子どもたちが届けた歌をここに紹介します。

あおく澄んだ空
秋の日よ
こがね色の麦穂
風になびく
うたえこの喜び
大地の恵み
とどけ鉄のひびき
たかく たかく
おおミカエル

3年生担任 木村真由美 

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