悲劇「声を聴かせて」[教室の窓から2024.11月]

悲劇 福岡シュタイナー学園 演劇

6月中旬から 週に1度の時間 を使って準備をしてきた 演劇。10年生テーマである「悲劇」について、そもそも 「 悲 」とは何か、話し合いました。 初めは 話し合いにもならず、否定的な 単語を並べただけの時間でした。 彼らの中で 悲劇的なことは といえば 周辺ではなかなか 見つけられず、ただひたすら 図書館に通い 一般的な古典悲劇と言われているものの 捜索 から始めました。

他校で取り組んだ 悲劇の題材を参考に 一人一人本を読み漁りましたが、 彼らのハートを掴む作品には出会えませんでした。 出演人数の制限と 会場の条件•規模、これらを 考慮すると、できる ものが少ないという壁にもぶつかりました。 そんな中出会ったのが今回の演劇の モチーフになった一冊の小説でした。 この小説への関心は高く決定も早かったのです。

「 52hz のクジラの声はあまりにも高音で他のクジラたちには聞こえない。 一生懸命 鳴いても 誰も聞いてくれない。 世界で一番孤独なクジラ 。広い海でたった一人 誰にも届かない声で 歌っているクジラ。」 この文章に、彼らのハートが動かされたようでした。「言いたいことがあっても、なかなか言えない 事がある」「 自分が泣いていても気づいてもらえないことがある」と言ったワードが次々に出始め、視野も広がり地域社会問題へと感心を持ち始めました。 このストーリーならみんなで演じてみようよ ということから、取り組んだ演劇。 単行本 1冊を文字起こし から始め 慣れない手つきで 始めた台本作り。 やっと1冊 本が完成したところで、 台本 として セリフ 作りが始まり 起承転結に まとめぶつかった壁が「著作権」 そこからまた振り出しに戻り、 1からスタートして作り上げた のが 今回の台本。この演技が始まるまでに作り上げた 台本は3冊 。色々な意味での悲劇がありました。

悲劇 福岡シュタイナー学園 演劇

そして何よりも今回のこの演技において 1番大変だったのは、自分ではない人物•経験のない世界を 演ずる というところが難題でした。 自分とはかけ離れた性格を持った 人物への取り組みはなかなか難しいことです。 想像し役になりきらなければ内に秘めた物は出せません。

悲劇 福岡シュタイナー学園 演劇

彼らは納得行くまで話し合い、 納得行くまで前後 左右のストーリーを 想像し、 組み立てる。 まるでパズルを組み立てるような取り組みをしてきました。

悲劇 福岡シュタイナー学園 演劇

隙間時間を駆使し練習し、なるべく学園にある最低限の物を小物として使い、祝日を返上しストーリーのかなめとなるドア(大道具)1つを作る。

悲劇 福岡シュタイナー学園 演劇

実習報告会の原稿チェック10月14日、10月16日 報告会。演劇 発表は 10月22日 ゲネプロ 。 23•24日本番。その間 舞台での通し稽古はなんと、一度もありませんでした。

こんなスゴ技ができる 10年生。

ここでも、 まさに自分たちで決めたい、 自分たちで納得がいくまでやり遂げたい、という意志の表れが明確に出された 今回の取り組みでした 。

実際 演劇の取り組み中に 実習を入れたことで 不安もありましたが、 この練習期間中の間に社会に出た、ということが彼らの演技に拍車がかかったと感じています。

 何はともあれ 彼らは 外に出ることでいろいろ 開花 されています。

ここで この場をお借りして•••

ここまで 支えてくださった 学園関係者の皆様、専科教員の皆様、保護者、家族の皆様 本当にありがとうございました。 そして学園の卒業生 2人にも 感謝です。 彼らがいなければ10年生は 演技に集中することはできなかったです。

皆さんで支えてくださった 10年劇、ありがとうございました。

10年生担任 工藤千秋 

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