3年生になった子どもたちは、逞しさと時には少しの落ち着きを感じさせるようになりました。
3年生の時期の子どもたちは、今まで安全に守られた世界の中にいた自分がそこから離れ、一人孤立感や喪失感を経験する中で自分の手を動かし、必要なものをつくり、育てることによって、自分も安心してこの地上で生きていけることを経験し、自分と世界との関係も学んでいきます。それによって、世界のなかへ積極的に自分を送り込む基礎を築き、この地上でどう生きていくか、ただ自分が生きるためでない、自分の手を働かせることの本当の意味を学ぶのです。

さあ、そこで1年間を通して生活のエポックでしっかりと大地に根を下ろして手足を働かせていきます。まずは、米作りです。保護者の方の田んぼの一角を使わせていただき、4月の草取りから始まり、ひたすら鍬を使って懸命に耕しました。そして、苗床を昨年のお米をまいて作り、水が入ると、いよいよ田んぼらしくなってきました。

4年生にも手伝ってもらい、土と水をなめらかにならす代掻きの作業をがんばりました。そして、6月の半ばを過ぎたころ、田植えをしました。人数の少ない3年生クラスのお手伝いにと、2年生と4年生が参加してくれ、最後まで一気に皆で力を合わせ、クラスの田んぼ以外のところまで、田植えをやり遂げました。
昨年の経験者の4年生にサポートしてもらい、2年生と3年生もしっかりと丁寧に1本ずつの稲の苗を植えて行く事が出来ました。本当に感謝でいっぱいです。秋にしっかりと収穫できるように祈って、お世話を続けていきます。
それから学園のすぐ裏にある広い畑には、野菜を育て始めました。保護者や学園を支えてくださる方の協力により、ある程度耕していただき、畝作りから始めました。畑の指導してくださる方に協力していただき、とうもろこしや枝豆、カボチャ、ラディッシュ、レタスなどを植えました。レタスやラディッシュは、さっそく収穫して美味しくいただきました。そして、ちょうど5・6年生のお世話しているモルモットたちの素敵な小屋が出来た時に新築祝い?に美味しいレタスをたくさんプレゼントしました。自分だけのためでなく、他のために少しずつ手を動かしていくことが出来そうな予感がしています。
生活のエポックでは、他にも実際に色々な職人さんのところへ会いに出かけていきます。5月のとても晴れ渡った日に、糸島の昔ながらの塩作りをしている工房に見学に出かけました。海からくみ上げた海水を竹で組んだ高いやぐらのような所から少しずつ流していき、最後には釜で焚いて結晶を掬い取っていくというもので、子どもたちは釜で煮詰めた塩の結晶を見て味見もしました。
その後、近くの山を頂上まで登り、降りて行った海岸で思い切り泳いだりして遊びました。自然にたくさん触れる1年になります。子どもたちは自然のもつエネルギーに負けないくらい生き生きとしています。自然の恵みに感謝して、子どもたちと一緒にまた楽しい時間を過ごしながら学んでいきたいと思います。
3年生担任 木村真由美